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悪魔の失敗 秘書編

「おかしい……」

「どうしたんですか社長? 何か面白いことでもありましたか」

「いや、その可笑しいではないではないんだw」

秘書の気の利いた一言で気分が和らぐ。


仕事がうまくいき始めてからというもの私は悪魔との契約のことをほとんど忘れていた。

たまに思い出すことがあっても、あれは幻覚だったのだと考えることにしていた。
その方が実力で成功を勝ち取ったと思えるし、
そもそもこんなことを他人に話したら頭がおかしいと思われるに違いない。
だから契約のことはまだ誰にも話していなかった。

しかし、私はこのことを誰か信頼できる人間に話さなくてはならない。
私にはある困った法則のようなものが適用されているらしいのだ。

それは『金持ちになると、しばらくして必ず貧乏になる』というものだ。
初めは気がつかなかったが、これだけ何度も同じことが起これば誰だって疑わざるを得ない。

はっきりいってこれではいつまでたっても安定はないし、不安がなくならない。
おかしなサイクルはもうまっぴらごめんだ。

そう思った私は秘書にすべてを打ち明けた。
彼女はすべてを信じたわけではない様子だったが、
私の願いを聞き入れてくれた。

それから私は上場直前の会社の株を彼女に譲渡するようになり、
彼女には持ち株会社の会長になってもらった。

しばらくして彼女と私は結婚したが、問題は起こらなかった。
悪魔にとって私と私達は違うものらしい。

いや、もうあれを悪魔というのはやめたほうがいいのかもしれない。
人ならざるものは我々を試しているだけなのだ。

今はそう思うことにしている。



テーマ : 自作小説
ジャンル : 小説・文学

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No title

深いですね。ときどきこういう気持ちになることがあります。共感が得られる小説ってすごいと思います。

Re: No title

二人の信頼関係を客観的に伝える文章が最初の3行しかないので、
これはどうなんだろうと思っていましたが、共感してもらえる部分があってよかったです。

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