スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

悪魔の失敗

俺はその悪魔と契約をした。願いは「金持ちになりたい」だった。

悪魔は答えた「では貴方に金持ちになる能力と運を授けましょう。

その代わり、ある能力をいただきます」

俺は言った「なんだい?そのある能力っていうのは」

「残念ですがそれはお答えできないことになっております」

悪魔はそう言って消えた。


次の日からすべてが変わり始めた。

やることなすことすべてがウソのようにうまくいった。

それまでうまくいっていなかった商売は軌道に乗り、

新しく始めた事業はすべて成功した。


金は順調に増えていったが、

俺はまだまだ金持ちになったとは思っていなかった。


俺は努力を続けた。

不思議なことにやることなすことうまくいくと、

いくら働いていても努力しているという感覚がない。

人はそれを才能というのかもしれない。


そして数年後……


俺の資産は10億アウアウドルを超えた。

俺は金持ちになったと思った。

いや、思ってしまった。



その瞬間、俺はすべてを失った。

といっても死んだわけじゃない。


懇意にしていた役員に会社をのっとられた挙句、

違法取引で逮捕されることが確実だという情報が入ったのだ。

誰かが成功するということは他の誰かが失敗するということでもある。

俺のことを憎んでいる人間は多かったに違いない。



俺は全財産を持って海外へ逃げた。

すべてを失ったわけじゃない。俺は生きていて健康だし、まだ金はある。

こいつを使えばなんだってできる。

俺はまだ金持ちなんだ。そう思っていた。


しかし商習慣のちがう国での商売は、

住み慣れた国とは勝手が違った。

俺は騙されあっという間に文無しになった。


だが俺は諦めなかった。

騙したやつに復讐してやりたかったのもあったかもしれないが、

そんなことよりも、また金持ちになってやるという思いがふつふつと

わいてきたからだった。

ただ国が違うというだけで失敗した自分も間抜けで許せなかった。

しかし、これまでならそんな失敗はありえなかったのになぜ失敗したのか。

それは自分でも分からなかった。



可及的速やかにその国に馴染んだ俺は再び金持ちの階段を上り始めた。

俺はその国でも金持ちになった。

しかしそう思った瞬間、大きな投資に失敗した。

外国人経営者としてただでさえ反感を買っていた俺の評価はその一件で地に落ちた。


世間の評価が低いというのはビジネスの幅を制限する。

もっと自由な国で自由に商売をしたくなった俺は残りの金を持ってその国を後にした。




そんな事が何十年も続いた。



そして今、私はもうすぐこの世を去ろうとしている。

裕福になったり、貧困にあえいだり、波の多い人生だった。

結局悪魔が私から取っていった能力は金持ちであり続ける能力だったようだ。

いったいどれだけの人間が私を裏切ったのか分からない。


しかし、私には金持ちになる能力と運があったから、

いちいち彼らを憎んだりする暇はなかった。


仲間とともに会社を軌道に乗せていくプロセスは面白く、

幸せな人生だった……


あれは本当に悪魔だったのだろうか――






テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

No title

すごい面白かったです。最初の3行で引き込まれてしまった。
次から次に続く展開、すばらしかったです!!!

Re: No title

ありがとうございます。
書く側にとってもお話の始まり方は大事みたいです。
展開が速いのは何も調べずに適当に書いているからだと思います(^^;)

No title

面白かったです!
また覗きに来ます

Re: No title

ありがとうございます。
この路線が続くのか分かりませんが、
また読んでもらえるとうれしいです。
プロフィール

みみしま

Author:みみしま

最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。