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文章の練習 01神樹の使い

「ただいまーって言っても誰もいないんだっけ」
俺の名前は草野知也。高校2年。部活には特に入っていない。いわゆる帰宅部ってやつ。

あんまりおおっぴらにはしないけれど趣味はゲーム。帰宅仲間が言うには、帰宅部で俺みたいな成績のやつの趣味はだいたい絞られるってものらしい。ハイソな趣味(ハイソックスじゃなくいほう)のやつはなぜか成績もよかったりするから世の中はよくできてるのか不公平なのかよく分からない。

最近はまってるのはシュミレーションゲーム。町をつくったり店を経営したりするの。ゲームの中でうまくいったってしょうがないというやつもいるけど、俺は地道に育てる感じのがすきなだけなんだからほっといて欲しいと思う。今やってるのは農場系の。野菜とか果物がぷくぷく成長していくのがかわいいんだ、これが。農家の人がこのゲームやったらどう思うだろうとか考えられない貧困な自分の想像力に感謝。「(!また台風かよ、なんでこのゲームには天候を操る巫女とかいないんだろな。)」こういう妄想は結構得意なんだけど使う機会ないしな…なぜか部活に入ってるやつらのことを思い出したけどすぐ忘れた。

やっぱり、あのゲーム買おうかな。ゲームショップのことを思い出す。小学生の頃はたくさんあったゲームショップも今はレッドデータブックに乗りそうなくらい少ない。たまにお店に入るのは、中古をながめるのが目的だけど店の雰囲気を楽しんでいることもある。前から気になっているジャンルは少女育成ゲームとかそういうやつ。やってみたいけどどうも買う勇気が出ない。というかやる勇気が出ないからネットでも買えない。たぶん自分の趣味がもろに出るからいやなんだろう。とことんチキンな性格だから。ロールプレイングの主人公になりきれないのもそのせいかもしれない。もっと情けない主人公がすこしずつ強くなる話なら共感できるのになぁ…いや、ここはもうちょっとかっこよくいいたい。俺はもう世界の破滅ぎりぎり直前みたいな場面には疲れちまったんだよ。少しやすませてくれないか…とか。うーむ微妙。でも、そうすると、いまやってるシュミレーションは、また冒険に出るための一休みということになるのかな。

勢いよく水を飲み干して「ふー」と息を吐き出す。ひと段落。データをセーブして、あとは部屋で勉強するはずだったのだが―
「うぁ!!!」
ドアを開けた瞬間後ろに飛びのいてしまった。そこには見知らぬ女が立っていた。頭が真っ白になる。
「なにかごようですか?」
と言う彼女。声は女の子なのだが、調子はちょっと男っぽい。
「いえ、なにも」
「そうですか、では失礼します」
ドアが閉まる。

しばらくしてこの状況の疑問を持ち始める。ん?なんかおかしくないか。何か御用ってランプの妖精じゃあるまいし(ランプのは男じゃないのか?)、だいたいそれ俺の台詞だろ!というかもしかして泥棒?でも泥棒なら普通逃げるよな。なんか妙に礼儀正しいし…もしかして俺の知らない親戚とかかもしれない。たぶんそうだ。とりあえず聞いてみるか。

「あのー、どちらさまですか?」
「まずは自分から名乗るべきだと思わない?」
「あ、僕は草野知也といいます。ここの住人です。あとそこは僕の部屋なんですけど…」
「それくらい知ってるわ」

な、なんなんだこの態度のでかさは?もしかして親父こいつの親に借金でもしてるのか?それなら早く言ってくれよ。ってそういうのはやっぱりいいにくいかな。いや、そんなことより会話がとまってしまった。落ち着こう、たぶんいま俺は不利な立場にいるんだ。そしてそんなときこそ前向きに考える俺がいるはず。ということは、もしかして彼女はボケてくれたのかな。優しい人なのか?それなら「知ってるなら聞くなよっ!」と突っ込むのがお約束だろう。だけど初対面でこれでは飛びすぎてる。

こんなときこそ何も言えないチキン野郎が紳士に見えなくもないのではないか。などともう一度ポジティブシンキングをしつつドアをノックする。

「入りますよ。僕の部屋なんで」
もう一度ドアをあける。僕の部屋なんでというところで声が小さくなるところが情けない。ドアを開けると彼女はすわって漫画をぱらぱらめくっていた。頭に草の飾りがついている。しかも妙にリアルだ。

「あのさ」
「私の名前は蘭だけど」
「いや、そうじゃなくて、ではなくてそうですよね。」

『あのさ』なんて苗字も名前も聞いたことないけどそんな人いるのか?いや、彼女は初めの質問に答えてくれたわけだからこれでいいのか。

「どこから来たのかとか…」
「御木様のところ」
「三木さま?」
「御神木のことよ」
「御木様は過去にお前に命を救われたといっている」
なんか急展開だ。彼女の言っていることはよく分からないけど、よく分からないことがさらに増えたのはわかった。

「僕はそんなたいそうなことしたおぼえはないけど」
「私もお前がたいしたことできると思わない」
なっ、あまりにも事実すぎる。灰になって吹き飛ばされた意識が戻るまで5秒。気を取り直して言う。

「いちいち同意しなくていいよ。あとそのお前っていうのやめてくれない」
「じゃぁなんて言えばいいですか?バカトモでもいいよ」

そんなことを言いながら漫画をぶんなげる。
「わわっ、本はもっと丁寧に」
「これ×が多いね」
「あー、勝手に引き出しの秘密をあばいたらだめなーtぅ!きっ、危険が危ない!」
自分が何を言っているのか分からなくなってきた。

sas.jpg

「ふふ、やっぱりバカトモでいいよね」
いったい、なんなんだこの女は!俺がおバカだと証明したかったのか。それより、鍵はかけておいたのになんで?

「じゃあそろそろ帰るね」
「ちょっと」
「またくるから」
「えぇっ!」
「そんなに喜ばなくても……」

すたすたと玄関へ向かった彼女は「おじゃましました」と言ってどこかへ帰っていった。
気になって、ドアを開けたときにはもう誰もいなかった。「嵐が去った部屋での勉強はなぜかわりとはかどった」

そういえば、あいつ何しに来たんだろ。
またっていつなんだろう。

テーマ : ライトノベル
ジャンル : 小説・文学

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